遥かなる笙の調べ帰国の翌日、昔の同級生に五年ぶりの同窓会へ、無理やり連れ出された。
そこで、私――許斐笙子(このみ しょうこ)は彼と再会した。私の初恋、藤原澄人(ふじわら すみと)と。
誰もが予想していなかったのだろう。彼が突然、ダイヤモンドの指輪を掲げ、みんなの前で私にプロポーズしてくるなんて。
一気に場が沸いた。
歓声の中、みんなはきっと私が感激してすぐにうなずくとでも思っているのだろう。
だって昔は、私があんなにもしつこく彼を口説いていたんだから。
でも、みんなはもう忘れてしまったようだ。
卒業式の日、澄人は別の女の子のために、大勢の前で私に論文盗作を認めさせたことと。
さらに偽証までして、公然と私がカンニングをし、同級生をいじめていたと責め立てたことを。
挙句、私は卒業証書を取り上げられ、皆の視線にさらされながら卒業式場を追い出されたのだ。
その後、私はただ一人で海外へ飛び立った。
そして今、戻ってきた私に、彼の親友が教えてくれた。
「澄人はね……君が去った後、家のコネを使って君の卒業証書を取り戻したんだ。
君があれだけのことをしたとしても、彼は一度も君のことを忘れなかった。『笙子が望むなら、いつでも俺と結婚できる』って言ってたよ」